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企業のChatGPT活用事例|業務効率化につながる賢い活用方法をチェック!

OpenAIがChatGPTを公開したのは2022年11月。2023年5月に日本語対応版がリリースされました。以来、ユーザーは瞬く間に増加し、多くの日本企業でも導入されています。言語モデルの精度もリリース当初より格段に向上し、より自然な日本語での対話が可能となりました。

現在では企業ごとの目的や課題に応じて、様々な形でChatGPTが導入、活用されています。最適なAIツールの検討や導入に各社の活用事例を役立て、自社の業務効率化を実現してください。

企業のChatGPT活用事例


ChatGPTの導入事例は多岐にわたります。ここでは11社の活用事例を紹介します。各社の具体的な導入目的と活用事例を詳しく見ていきましょう。

文章作成

大阪市の地方独立行政法人、大阪市民病院機構は2024年10月、社内資料を参照した生成AIの試験的導入を公表しました。ChatGPT利用の生成AI「Crew」を採用しています。様々な文書の作成や要約のほか、院内での業務マニュアル確認の効率化を図るためのAI導入です。

導入後は院内で広く活用されており、今後は経営分析や院内独自データを学習させての活用も検討しているとのことです。

導入目的 各種文書の生成や要約、マニュアル作成などにかかる業務の効率化
活用事例
  • 挨拶文
  • 文書の要約
  • 誤字脱字チェック

企業のオウンドメディア制作においても、文章作成が欠かせません。AIを導入すれば、簡単操作で大幅な業務効率化が可能です。Webメディア等の運営には、記事作成に特化したAIライティングツール「ラクリン」を活用してください。本文や記事構成の見出し生成はもちろん、キーワード調査や選定、SEO対策に役立つ機能も搭載しています。

業務効率化

東洋建設株式会社では、株式会社UNAIITとの協働開発による統合検索プラットフォーム「TOYO ChatGPT RAG 適用版」を2024年9月に導入。クローズドな環境で安全性を維持しながら活用できる、社内標準型のChatGPTです。

導入目的
  • 業務効率化
  • ソフト活用支援
  • 創造性の向上
  • 職員のデジタル活用能力向上
  • 企業力向上
活用事例
  • プロンプト(AIへの指示や質問文)テンプレート提供によるAI入力アシスト
  • テキスト生成
  • 翻訳
  • 要約
  • 質問応答
  • 部門別専用GPT
  • AI社内ファイル検索
  • 災害傾向分析

AIアシスタント

メディア・インターネット広告事業を展開する株式会社サイバーエージェントでは、2024年6月、社員一人ひとりにAIアシスタントを提供したと公表しています。インターネット広告事業を担当する社員へのツール提供です。

同時に広告オペレーション業務を効率化するための、社内向けアプリケーション「シーエーアシスタント」を開発・導入しています。子会社への導入も進めつつ、今後は取引先の広告主企業への「シーエーアシスタント」の一部機能開放も見据えているとのことです。

導入目的
  • 広告オペレーション業務の効率化
  • 業務の在り方の再構築
  • 広告運用における生産性と品質向上
活用事例
  • 広告分析
  • グラフ作成
  • 初期構築管理
  • テクニカルサポート
  • 一次回答生成

顧客向けサービス

大和証券は、株式会社ヘッドウォータースと株式会社ヘッドウォータースコンサルティングとの協働により、顧客からの問い合わせに対応する大和証券AIオペレーターを開発。2024年10月から提供を開始しています。

導入目的
  • 顧客の利便性向上
  • 生成AI活用による顧客体験(CX)の変革実現
活用事例 各種問い合わせへの対応

カスタマーサポート

財務・会計システムや経営情報サービスを開発・販売する株式会社ミロク情報サービスでは、ChatGPTを活用し、独自の問い合わせ対応システムを開発。2024年10月、カスタマーサポート部門での利用を開始しています。

現在は社内スタッフが質問を入力して回答を得ていますが、将来的には顧客が直接やりとりできるシステムの構築を目指し、取り組んでいくとのことです。

導入目的
  • 問い合わせ対応業務の効率化
  • スピーディーな問題解決と応対品質の向上
  • サポート窓口の満足度向上
活用事例 部門担当スタッフからの質問への回答生成

窓口業務

青森県三戸町はデジタル庁推進の行政DX事業のモデルケースとして、株式会社ティファナ・ドットコム提供のAIさくらさんを導入。2024年10月1日より「書かない窓口」をスタートしました。

当該プロジェクトは、内閣府の「デジタル田園都市国家構想交付金」の採択事業として認定されています。2025年度までには、全国100の自治体への導入を目指しているとのことです。

導入目的
  • 窓口業務の効率化
  • 申請手続きの待ち時間の短縮化
  • 申請手続きの利便性向上
  • 行政サービスの効率化
活用事例 マイナンバーカードによる各種申請書の自動作成・印刷

マーケティング支援

GMOペパボ株式会社では2023年3月、自社のEC関連サービスに、ChatGPTのAPIを活用したマーケティング支援機能の提供を開始しました。

提供の第一弾として、カラーミーショップ byGMOペパボのユーザー向けにiOS無料アプリ「カラーミーAIアシスタント」のβ版を提供。登録した商品情報をもとに、SNSへの投稿文章を自動生成してくれる機能です。

導入目的 ECサイト運営におけるマーケティング支援
活用事例
  • SNS投稿用宣伝文の生成
  • 宣伝に最適なキーワードやハッシュタグ、絵文字を含めた投稿文生成

教育サービス

株式会社ベネッセコーポレーションは、2024年3月より「チャレンジAI学習コーチ」の提供を開始しました。小学4年から中学3年生の進研ゼミ講座会員を対象とした、分かるまで質問できるチャットボットツールです。

自宅学習でも分からないことをすぐに質問して理解できるように、進研ゼミが長年にわたり蓄積してきた学習データや指導コンテンツを取り入れたAI学習ツールです。

導入目的 学習サポートの効率化
活用事例
  • 各種教科の学習サポート
  • 学習法の相談
  • 考え方や視点を広げるためのサポート
  • 不明点の言語化サポート

対話型検索機能

フリマアプリを運営する株式会社メルカリでは、2023年7月より、ChatGPTプラグインと連携した対話型の商品検索機能をユーザーに提供しています。

従前の検索機能では、キーワードや検索履歴に基づくおすすめに依存していました。しかし、対話型検索機能を利用すれば、スタッフと会話するように商品を検索できます。例えば「海外旅行に行くけど、持っていくと便利なおすすめグッズはある?」などといった質問からの検索も可能です。

導入目的 商品検索における利便性向上
活用事例 AIとの対話による商品検索

不動産査定

2024年10月、三菱地所株式会社は「三菱地所のレジデンスクラブ」の会員サイト向けに「レジクマAI査定」サービスをリリースしました。所有住居の資産価値の確認や、売却に関する情報を対話形式で得られる不動産査定ツールです。

利用者による情報収集の負担を、AIとの双方向コミュニケーションでカバーし、営業担当者とのやりとりのようにスムーズに査定を進めることが可能です。

導入目的
  • 納得感のあるAI査定
  • 住居買い替えのサポート強化
活用事例
  • ユーザー自身による資産価値の把握
  • 市場価値の推移の把握
  • 住居の周辺エリアの市況情報や、類似物件の売買事例の把握

人材採用

結婚式場を運営する株式会社ノバレーゼは、2024年10月に株式会社VARIETAS提供のAI面接官を導入しました。株式会社VARIETASは、人事業務をサポートする企業です。AI面接官は、戦略的な人事業務を補助するためのAIツールです。

AI面接官による一次面接の実施により、多角的な評価による人事選考体制を整備しています。

導入目的
  • 戦略的な人事業務のサポート
  • 公平で柔軟な採用プロセスの構築
  • 多角的な人材評価の体制整備
  • 採用活動や体制の強化
活用事例 一次面接による人事の初期選考

商品企画

株式会社セブン-イレブン・ジャパンでは、2024年春に商品企画に生成AIを採用。販売店舗のデータやSNSなどを分析し、商品のアピール文や画像をAIで生成し、トレンドやニーズに合う商品を迅速に提供するための導入です。

商品企画にかかる期間は10分の1に短縮できるとのことです。

導入目的 商品企画の効率化
活用事例 商品企画

コミュニティサイト

妊娠・育児コミュニティを運営するベビカム株式会社は、2024年10月に「ベビカムAIアシスタント」を無料で一般公開しました。妊娠中の不安や悩みに寄り添い、24時間いつでもチャット対応でアドバイスしてくれます。

ChatGPTを活用した開発段階のツールですが、開発は継続しており、今後もより役立つサービスになるよう、クオリティを高めていくとのことです。

導入目的 妊娠中の女性に寄り添った、誹謗中傷など攻撃性のない安全な環境でのサポート提供
活用事例 妊娠中の女性へのサポート

企業でChatGPTを活用する際の注意点


多くの企業でChatGPTが幅広く活用されていますが、安全に運用するには注意すべきポイントもあります。以下の3つのポイントを押さえて、安全性を確保しながら導入を検討してください。

リスクの把握

企業でのChatGPT導入においては、以下のように様々なリスクが想定されます。

  • 機密情報や個人情報の漏えい
  • 誤情報の拡散
  • 偏見を含んだ表現

企業には、ChatGPT利用によるリスクを把握した上でのセキュリティ対策や利用範囲等、慎重な検討、検証が求められます。

社内ガイドラインの策定

企業でChatGPTを効果的に活用するには、明確な社内ガイドラインの策定が重要です。ガイドラインには以下のような項目が必要です。

  • 使用目的や利用範囲
  • データの取り扱い
  • 従業員の教育
  • セキュリティ対策

ChatGPTで生成したコンテンツへの責任の所在や品質基準においても、基本となる社内規定が必要です。ChatGPT利用における社内ガイドラインの策定については、以下の記事も参考にしてください。

ChatGPT社内ガイドライン策定の必要性と記載すべき7つの項目
企業でChatGPTを導入する際の、社内ガイドラインの必要性と策定方法について詳しく解説します。情報漏えいや誤情報の拡散、法的リスクを避け、効果的に活用するためのポイントも紹介。具体的な記載項目や注意点、手順を紹介していますので、適切な社内ガイドライン策定に役立ててください。

人間による確認

ChatGPTによる自動化は効率的ですが、生成や提案されるコンテンツは完璧ではありません。学習データによっては、古い情報や誤った情報を出力する可能性があります。不適切な表現をするケースも見られます。

人間によるリサーチを実施して、最新情報や信ぴょう性を確認した上での修正や改善の作業が欠かせません。ChatGPTが生成したコンテンツを顧客対応や公開文書として活用、配信する際には、特に慎重な確認・修正への取り組みが求められます。

企業のChatGPT活用事例を参考に効果を最大化させよう


ChatGPTは、国内でも多くの企業で導入されており、様々な業界や分野で実践的に活用されています。11の活用事例を紹介しましたが、ほかにも多くの興味深いノウハウ事例や活用手法が存在します。

ビジネスで役立つ面白い使い方を紹介する記事も、あわせてご覧ください。

【ChatGPT】仕事に役立つ面白い使い方8選|活用範囲を広げよう
ChatGPTはアイデア次第で様々に活用可能ですが、仕事に生かせる面白い使い方も多数あります。ここではChatGPTを仕事で生かす面白い使い方8選と、企業の6つの活用事例をまとめて紹介します。ビジネスシーンにおけるAI活用の参考にしてください。

これからChatGPTを導入予定の企業は、他社の成功事例や失敗経験、アイデアから多くのメリット・デメリット、知識を得ることが可能です。成功事例を参考にすれば、ChatGPTの効果を最大化でき、各種業務の作業時間短縮やリソース不足解消にも役立ちます。

活用事例から得られる知見を、自社のニーズに応じた最適なツール導入に役立ててください。業務効率が向上し、企業の技術革新や新たな価値創出の促進を期待できます。

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